メール送受信の仕組みを説明した際に、通信プロトコルのことに少し触れました。今回は、「通信プロトコル」について説明します。
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プロトコル [Protocol] は 規約・規定・取り決め
皆さんは、トム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」シリーズをご覧になったことはありますでしょうか。特に話題になったのは、ドバイにあるブルジュ・ハリファの外壁を登るシーンがある、2011年公開の「ミッション:インポッシブル / ゴーストプロトコル」です。
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(吹替版)アメリカの諜報機関 IMF のエージェントとして、非合法に活動する主人公が、指令を受け取る際に、最後に必ずこういう言い回しが出てきます。
例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、或いは殺されても当局は一切関知しないから、そのつもりで。
ミッション:インポッシブルシリーズの指令の最後に出てくるフレーズ
これは、「非合法で活動しているので、任務中に何かあったとしても、政府は一切その存在を否定する(存在しなかったこと[ゴースト]にする)」とあらかじめ取り決めているのです。映画の中では、「ゴースト・プロトコル(幽霊扱いにする取り決め)」と呼んでいます。
全く話が変わりますが、1997年に京都で結ばれた、温暖化防止のための国際会議で取り決められた世界で初めての国際協定「京都議定書」。英語では Kyoto Protocol (キョウト・プロトコル)と言います。
これらの例から分かるように、プロトコルとは、規約・規定・取り決めという意味合いで使われています。
通信規約に基づいてデータをやり取りする
コンピューターがデータのやり取りをする際には、さまざまな通信をしています。
ホームページを見る時、メールを送信する時・受信する時、ファイル転送をする時、リモートでパソコンを操作する時など、その役割・機能に応じて、別々の通信方法の取り決めによって、やり取りをしています。これを「通信プロトコル」と言います。
代表的な通信プロトコルは、以下の通りです。
- HTTP
Webブラウザが、Webサーバーと通信する時に使うプロトコルです。
通信の内容が暗号化されていないので、2020年現在の主流のブラウザでは「保護されていない通信」「セキュリティ保護なし」と表示されます。通信内容が盗聴されたり、改ざんされる攻撃を受ける危険性があるためです。
- HTTPS
Webブラウザが、Webサーバーと通信する時に使うプロトコル。
HTTPとの違いは、TLSという暗号化技術によって通信内容が暗号化されている点・接続先のWebサーバーの正当性をサーバー証明書によって保証している点が挙げられます。2020年現在では、サイトを HTTPS 対応にすることが 、Google などの検索エンジンで上位に表示されるための一定の条件に挙げられています。
HTTPS でサイトを保護する | Google 検索セントラル | Google Developers
- POP (Post Office Protocol)
メール受信の為に使用するプロトコルです。現在使っているものは、バージョン3なので、POP3 と表現することがあります。 - IMAP (Internet Message Access Protocol)
メール受信の為に使用するプロトコルです。現在広く使われているものは、IMAP4 です。 - SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)
メール送信の為に使用するプロトコルです。 - FTP (File Transfer Protocol)
ファイル転送を行う際に使用するプロトコルです。かつては大学・研究施設を中心に、パスワード無しでアクセスできる匿名FTPサーバーがたくさんありました。接続する際のアドレスは、ftp:// から始まります(並行して HTTP のアクセスを受け付けているFTPサーバーが大多数です。例えば、理化学研究所の https://ftp.riken.jp/ など)。
ただ、この匿名FTPサーバーを会社で使うと、思わぬ情報漏えいにつながることがあります。
- NTP (Network Time Protocol)
ネットワーク接続されているコンピューター類の時刻の同期をとるために用いるプロトコルです。Windows 10 の場合、標準では「time.windows.com」にアクセスし、そこで動いている NTPサーバーの情報をもとに、時刻を自動設定しています。
日本でも、情報通信研究機構で、NTPサーバー「ntp.nict.jp」を動かしています。
■日本標準時(JST)グループ – 日本標準時 に直結した時刻サーバ NICT公開NTPサービスではインターネットを利用して、日本標準時を時刻配信しています。
この他にも本当に多くのプロトコルがあります。
プロトコルという言葉を知ってもらえたら
通信プロトコルは、本当にたくさんあって覚えきれませんが、この記事をきっかけに「プロトコル」という言葉を知ってもらえたら、嬉しいです。